僕が好きな文学者、吉行淳之介。

僕は純文学作品が好きで古本屋などにいってめぼしい作家の珍品を集めている者である。今の若者は吉行淳之介は誰か?と尋ねて、小説家です。と答える人は年々減っているのではないだろうか。これが村上春樹ということであれば、話は違う。彼は小説家です。と答えるに違いない。

しかし、面白いことに村上春樹は、自分の文学的系譜に第三の新人と呼ばれた作家群をあげた。吉行淳之介は、その第三の新人と呼ばれる作家群の中心的な存在で、ほかに遠藤周作などがいるが、僕は吉行淳之介が大好きである。ダンディズム溢れる作家的姿勢。

そして、物語に出てくる女性への扱い方が、実に綿密に書かれていて、普通だったら、恥ずかしげな、恋愛論も、堂々と書いてある。それほどの色男であり、知性をもった人物である。第三の新人は、無頼派と呼ばれた破滅的な作家たちとは違い、破滅的なスタンスはなく、日常生活の中にある異空間を上手く表現している。

遠藤周作は歴史物も書くが、吉行淳之介は現代の中間小説を書き連ねていった。あまりにも繊細でリアリティのある描写は何度読んでも飽きない。エッセイや対談集もおもしろく、さすがだなぁと思うことが随所にある。真似して書こうとしても書けるものじゃない。実に高貴で、吉行淳之介が生きた時代を映し出している。